この記事でわかること:

  • 税理士・会計ソフトとは別に、社内専用の資金管理を持つ理由
  • クレジットカード明細をAIで自動処理する仕組みの作り方
  • 中小企業が「お金の見える化」を始める時のヒント

「ITコンサルの会社なのに、自社の資金繰りはどう管理しているんですか?」と聞かれることがあります。正直に言うと、お恥ずかしながら以前は感覚と勘に頼っていた部分がありました。今回は、その状態から自社専用の資金管理システムをゼロから作った時の話をします。

税理士のfreeeとは、あえて連携させなかった

弊社では税理士の先生にfreeeを管理していただいています。確定申告や法定の帳簿付けという意味では、これが正本です。ただ、税理士の先生の処理にはどうしてもタイムラグがあり、「今この瞬間、手元にいくら使えるお金があるのか」をリアルタイムで知りたい、という社内のニーズには応えられませんでした。

そこで決めたのは、freeeと無理に連携させず、社内の資金管理は完全に独立したシステムとして持つということでした。freeeは税務の正本、社内システムは日々の資金繰りを見るための管理会計層、と役割を分けたことで、設計がすっきりしました。

クレジットカード5枚分の明細を、AIに読んでもらう

弊社では用途に応じてクレジットカードを5枚(Amex、Orico、JCB×2、楽天、PayPayカード)使い分けています。これを毎月手作業で集計するのは、正直かなりの手間でした。

そこで、Google Workspace上にGoogle Apps Script(GAS)でシステムを組み、カードのPDF明細をGemini APIに読み込ませて自動で取引内容を抽出する仕組みを作りました。ただし、AIに丸投げはしません。抽出結果は必ず人の目で確認する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の設計にしています。AIは速いですが完璧ではないので、最終確認は人が行う、という線引きをはっきりさせました。

同じ明細を二重に取り込んでしまうミスを防ぐため、ファイルごとにハッシュ値を計算して重複をスキップする仕組みも入れています。これにより、何度再取り込みをしても安全に処理できるようになりました。

仕訳のルールは、少しずつAIと一緒に育てる

「この取引先からの支払いは、何の費目か」という仕訳のルールも、最初から完璧を目指しませんでした。取引件数の多い取引先から優先的にAIが仕訳案を提案し、それを人が確認して採用する、という形で少しずつルールを育てていく方針にしています。最初は時間がかかりますが、件数の多いところから手をつけることで、早い段階から効果を実感できました。

「見える化」した先に見えたもの

この仕組みを作ってから、資金繰りの予測がかなり立てやすくなりました。確定している支出は積み上げて計算し、変動費の部分だけAIに推計してもらうことで、数ヶ月先の手元資金の見通しが立つようになっています。

正直なところ、この仕組みを作るまでは「なんとなく大丈夫そう」という感覚で経営判断をしていた部分がありました。数字で見える化されたことで、判断の精度が上がったと感じています。

中小企業の経営者の方へ

もし「会計ソフトは入れているけれど、今いくら使えるお金があるのか正直よくわからない」という感覚がある方は、決して珍しくありません。弊社も同じ場所からスタートしました。会計ソフトを入れ替える必要はなく、税務の正本はそのままに、社内向けの管理会計の仕組みだけを別に持つというやり方もあります。ご興味があれば、無料相談でどんな仕組みが合うか一緒に考えさせてください。